私に告白してきた同僚の話
生きていたら不思議なこともあるものだ。
月に一度しか会わない同僚に先月告白された。
コロナ以降、バイト先ではマスクが必須で顔も半分しか見れないし、
そもそも年に12回しか会わないのに。
私は恋愛の話を人に話すことは苦手だ。
どこか、私の真の深いところを触れられてしまう気がして、
自分だけでひっそりと大切に守っておきたい部分なのかもしれない。
そういうこともあって、自分の素性はあまり公表せず
人生とは…夢とは…といった漠然とした哲学的な話(私はこの手の話を聞くのが好きだ)の聞いていたのが悪かったのだろうか。
丁重にお断りしたものの、彼氏がいることまではずっと伝えられなかった。
それが昨日むこうから聞いてくれたので、私はおそるおそる「はい、います」と答えた。
その時彼のなかでパリンと何かが割れたように見えた。
ああしまった、と思った。
私たちはそのまま、電車に乗って別々の駅に降りていった。
相手を傷つける勇気もなく、なし崩し的にここまで来てしまった。
私はどうすることもできなかった。
友達になることと、恋人になることの境界線はなんだろう。
私のコミュニケーション法はその一線に触れてしまうのだろうか。
だから、人によって拒まれたりまたは恋愛感情を抱かれてしまったりするのだろうか。
それなら一般的な人と人との交流はとても表面的で浅いものだ。
悲しくて切ない。そんな感情に包まれる。